顎関節症・歯ぎしり・噛み合わせのズレでお悩みの方へ|根本から整える矯正治療のすすめ
目次
顎関節症とは何か?──原因と発症メカニズム
「顎がカクカク鳴る」「口が大きく開けられない」「噛むと顎が痛む」──そんな症状を感じたことはありませんか?これらの症状の背景にある可能性が高いのが「顎関節症(がくかんせつしょう)」です。日本人の約7割が一生のうち一度は経験するとされており、10代〜30代の女性に特に多いといわれています。
顎関節症は、その名の通り、顎の関節(顎関節)とそれに付随する筋肉や靭帯に起こる異常を指します。単なる関節の問題ではなく、噛み合わせのズレ、くいしばり、TCH(歯列接触癖)、姿勢の悪さ、ストレスなどが複雑に絡み合って発症することが多いのが特徴です。
顎関節症の原因は一つではなく、複数の要因が積み重なって生じます。以下に主な原因を整理してみましょう。
- 噛み合わせのズレ:上下の歯が正しくかみ合っていない状態。特定の歯にだけ過剰な力が加わることで、関節に負担がかかります。
- 歯ぎしり・くいしばり:無意識に顎へ強い力を加える癖。特に夜間のくいしばりは自覚しにくく、顎関節や筋肉へのダメージが蓄積します。
- TCH(Tooth Contacting Habit):日中、上下の歯を無意識に接触させる癖。常に噛んでいるような状態が続くと、顎関節や咀嚼筋への負担が高まります。
- 姿勢の乱れ:猫背やストレートネックなど、首や肩の筋肉バランスが崩れることで、顎の位置や動きにも影響を与えます。
- 精神的ストレス:ストレスが筋緊張を引き起こし、歯ぎしり・くいしばりの増加に繋がる場合があります。
顎関節症は、放っておくと顎の運動障害や開口制限に加え、肩こり・頭痛・耳鳴り・全身の不調に波及することも少なくありません。初期段階では違和感程度でも、歯並びや噛み合わせに根本的なズレがある場合は、矯正治療によって噛み合わせの再構築を図ることが根本的な改善につながります。
矯正治療と顎関節症の関係
顎関節症の治療にはマウスピースや薬物療法、リハビリなどがありますが、根本的に噛み合わせに問題がある場合は、矯正治療が不可欠です。歯並びが整っていないと、噛むときの力の分散が不均等になり、関節への負担が解消されにくいからです。
実際、やまぐち歯科こども歯科では、顎関節症を訴える患者さんの多くが、噛み合わせのズレや歯列不正を伴っており、矯正治療によって症状が緩和・解消された症例が数多くあります。
初期症状が軽度なうちに噛み合わせの問題を見つけ、整えることで、将来的な顎関節の損傷や歯の咬耗、歯周病の悪化といったトラブルも防ぐことが可能です。つまり、「顎の音が気になる」「朝起きると顎がだるい」と感じた段階での相談が最も有効なのです。
早期発見・早期治療の重要性
顎関節症は自然に治ることもありますが、放置すれば慢性化しやすく、治療に時間がかかるようになります。また、成長期のお子さまの場合は、顎の成長にも悪影響を及ぼす可能性があるため、小児期からの正しい噛み合わせの育成が大切です。
そのためにも、矯正治療を専門とする歯科医院での精密な診断・レントゲン撮影(CT・セファロ)を通じて、原因を多角的に見極めることが第一歩です。

▲ 顎関節症の発症メカニズム(イメージ図)
咬耗とは?歯がすり減る原因と日常生活との関係
鏡を見て、「前歯の先端が平らになっている」「奥歯の噛み合う面がすり減っている」──そんな変化に気づいたことはありませんか?こうした現象は、「咬耗(こうもう)」と呼ばれ、歯が物理的な力で徐々にすり減っていく状態を指します。特に、歯ぎしり・くいしばり・かみ合わせの不正といった習慣的な負担が原因となることが多く、放置すると歯の機能や美しさに深刻な影響を与えるおそれがあります。
咬耗は加齢とともに自然に起こる現象でもありますが、最近では10代や20代の若年層でも進行が見られるケースが増えています。その背景には、日常的なくいしばり癖やTCH(歯列接触癖)、不正咬合(噛み合わせのズレ)などが大きく関係しているのです。
咬耗の主な原因
- 歯ぎしり・くいしばり:寝ている間の歯ぎしりや、仕事中などの無意識のくいしばりが歯に強い摩擦を与え、咬耗を加速させます。
- TCH(歯列接触癖):常に歯を軽く接触させる癖。力は弱くても接触時間が長くなることで慢性的な負荷となります。
- 噛み合わせのズレ:特定の歯にだけ負担がかかることで、局所的な咬耗が起こります。
- 硬い食べ物の摂取習慣:するめ、フランスパン、氷などを頻繁に噛むことも影響します。
- 習慣的動作:爪を噛む、鉛筆を噛むなどの癖。
咬耗が進行すると、以下のようなトラブルが起こりやすくなります。
- 前歯のすき間が目立つ・見た目が老けて見える
- 歯の長さが短くなる
- 咬み合わせのバランスが崩れる
- 歯がしみやすくなる(知覚過敏)
- 咀嚼効率が低下する(よく噛めない)

▲ 咬耗によってすり減った前歯の例(イメージ)
咬耗の進行は止められる?
一度すり減った歯は自然に元に戻ることはありません。しかし、咬耗の進行を止め、これ以上悪化させないための対策は可能です。以下のような方法が挙げられます。
- ナイトガードの使用:就寝時に装着することで、歯ぎしりやくいしばりによる摩耗を物理的に防止します。
- TCHの意識改善:日中、歯を接触させないよう意識するトレーニング。
- 矯正治療:噛み合わせのズレを矯正することで、力の偏りを是正し、特定の歯の咬耗を予防します。
特に重要なのは、噛み合わせの改善です。咬耗は「力のかかり方の不均等」が大きな要因ですので、全体の歯列バランスを整える矯正治療が有効です。
矯正治療が咬耗を防ぐ理由
歯列が整い、上下の歯が適切な位置で咬み合うようになると、咀嚼時の力が均等に分散されます。これにより、特定の歯に過剰な力が集中することがなくなり、摩耗のリスクが大幅に減少します。つまり、歯を守るための矯正治療という考え方もできるのです。
やまぐち歯科こども歯科では、咬耗が進んだ患者さんに対して、噛み合わせの分析と矯正の必要性を診断したうえで、個別の治療プランを提案しています。「歯がすり減ってきたかも?」と気づいた時点で、ぜひ一度ご相談ください。

▲ 矯正治療で改善された理想的な咬み合わせ
かみ合わせのずれが全身に与える影響
「肩こりがひどい」「頭痛が治らない」「いつも片方の顎で噛んでいる気がする」──そんな症状、実はかみ合わせのズレが原因かもしれません。上下の歯が本来あるべき位置からズレてしまっていると、咀嚼だけでなく、顎、首、全身にまでさまざまな不調を引き起こします。
現代人の多くが無自覚のうちにかみ合わせの乱れを抱えており、身体全体のバランスに影響を与えているケースは少なくありません。特に、片噛みやTCH(歯列接触癖)、咬耗、歯の傾きが積み重なると、顎関節症や全身の不定愁訴(原因不明の体調不良)へと進行してしまうこともあります。
かみ合わせがズレる原因
- 歯並びの悪さ(叢生、過蓋咬合、開咬など)
- 乳歯の早期脱落や虫歯による歯列の乱れ
- 親知らずの影響で歯が押される
- 片側だけで噛むクセ(片噛み)
- 頬杖、寝方、猫背などの日常姿勢
一見すると口の中だけの問題のように思えますが、実はかみ合わせは「顎・首・肩・背骨」までつながる連動システムの一部なのです。

▲ かみ合わせのズレが首や背骨に与える影響(概念図)
かみ合わせのズレが引き起こす全身への影響
- 頭痛:側頭筋・咬筋の過緊張による緊張性頭痛
- 肩こり・首こり:顎のズレによる筋肉バランスの崩れ
- めまい・耳鳴り:顎関節に隣接する耳の構造への圧迫
- 顔の左右非対称:片噛みや顎の偏位により輪郭に差が出る
- 歯ぎしり・くいしばりの悪化:力の逃げ場がないため習慣化しやすい
つまり、かみ合わせのズレは「全身症状の起点」とも言えるのです。どれだけマッサージや整体を受けても改善しない症状が、実は歯列の不正が原因だった、という例も多くあります。
矯正治療で全身バランスが整う?
やまぐち歯科こども歯科では、精密検査(CT・セファロ)を通して、かみ合わせと顎の位置関係、筋肉バランスを総合的に診断しています。その上で、必要な場合には矯正治療により歯列と顎位(がくい)を正常な位置に導く治療を行います。
歯が正しく噛み合い、顎が自然な位置に収まることで、咀嚼筋や姿勢筋の緊張が和らぎ、慢性的な頭痛や肩こりが改善されたケースも珍しくありません。また、左右バランスが整うことで顔のゆがみが軽減されたという患者さんの声もあります。

▲ 噛み合わせを整えることで得られる全身バランスの改善
「歯並びだけの問題」と思わずに、身体の不調を根本から見直すという意味で、かみ合わせのチェックと矯正治療の検討は非常に重要です。
顎の痛みとその診断方法──どの科に行けばいい?
「顎が痛くて食べづらい」「口を開けるとカクンと音がする」「朝起きると顎がだるい」──こうした症状は、顎関節や咀嚼筋に何らかの問題が起きているサインです。顎の痛みを感じたとき、何科を受診すればよいのか分からず、受診が遅れてしまう方も多くいらっしゃいます。
顎の痛みの多くは、「顎関節症」の一症状であり、歯科・口腔外科が主な診療科となります。しかし、症状の原因によっては耳鼻科・整形外科・脳神経外科・心療内科などが関わることもあり、まずは包括的に診断できる歯科医院での検査が重要です。
顎の痛みに潜むさまざまな原因
顎の痛みには以下のようにさまざまな原因がありますが、最も多いのは顎関節症によるものです。
- 顎関節症:関節円板のズレ、顎関節の炎症、筋肉の緊張など
- 歯ぎしり・くいしばり:咀嚼筋への過剰な負担
- かみ合わせのズレ:特定の歯や顎に力が集中
- 外傷:転倒や事故による打撲・骨折
- 智歯周囲炎:親知らず周辺の炎症による放散痛
- 側頭動脈炎・腫瘍など稀な疾患
これらの中でも、筋・骨格・歯のバランスに起因するものは、歯科的なアプローチ──特にかみ合わせの調整や矯正治療が有効です。

▲ 顎の痛みの主な原因と診断の流れ
やまぐち歯科こども歯科での顎の痛みの診断プロセス
当院では、顎の痛みを訴える患者様に対し、以下のような診断プロセスを経て、原因を多角的に評価しています。
- 問診・触診:痛みの部位、開口量、カクカク音の有無、食事・会話時の症状などを確認
- レントゲン(パノラマ)撮影:顎の骨構造の異常をチェック
- セファログラム(側貌頭部X線)やCT撮影:顎関節の位置や歯列のバランスを精密に把握
- かみ合わせ診断:どの歯が強く当たっているかを咬合紙などで測定
こうした検査を通じて、一時的な筋肉の炎症なのか、構造的な咬合異常なのかを判別し、治療方針を決定します。
矯正治療が有効となるケースとは?
以下のような方には、矯正治療による根本的な改善が適応となります。
- 片噛みが習慣化している(歯列の傾きがある)
- 咬耗や歯のすり減りが顕著
- 上下の歯の正中(真ん中)がズレている
- 開口時に下顎が斜めに動く
- 顎のズレとともに顔の左右差が見られる
このような咬合異常を放置すると、顎関節への負担が慢性化し、痛みや運動障害が進行してしまう可能性があります。矯正治療により、歯列全体と顎の位置を整えることで、顎関節の負荷が自然に軽減されるため、再発予防にもつながります。
まずは歯科での相談を
「口腔外科?整形外科?どこに行けばいいかわからない…」という方こそ、まずは矯正にも対応した歯科医院へご相談ください。やまぐち歯科こども歯科では、顎関節症・かみ合わせの異常・歯列不正をトータルに評価したうえで、必要に応じて他科とも連携して治療を行います。
顎の痛みは、決して「我慢していれば治るもの」ではありません。むしろ痛みのある時期こそ、正しいかみ合わせを作る最適なタイミングなのです。

▲ 顎の痛みを感じたら、まずはご相談ください
「歯が染みる」その原因は?知覚過敏と関連疾患
冷たい水を飲んだとき、甘いものを食べたとき、歯が「キーン」と染みるような痛みを感じた経験はありませんか?この症状は多くの場合、知覚過敏(ちかくかびん)と呼ばれる状態です。しかし、ただの一時的なものとして放っておくと、実は重大な問題が隠れているケースもあります。
知覚過敏は、歯の表面(エナメル質)がすり減ったり、歯茎が下がったりして、内側の象牙質が露出することにより起こります。この象牙質には神経へと通じる細かい管(象牙細管)があり、冷気や甘味、刺激が伝わりやすくなってしまうのです。
ただし、「歯が染みる」症状の原因は知覚過敏だけに限りません。以下のような他の疾患や構造的な問題が関係していることもあるため、正確な診断が重要です。
歯が染みる主な原因
- 知覚過敏:咬耗、歯ブラシの力の入れすぎ、ホワイトニング後など
- 歯の咬耗・すり減り:くいしばりや歯ぎしりにより象牙質が露出
- 歯肉退縮:加齢や歯周病、不適切なブラッシングにより歯茎が下がる
- 虫歯(初期〜中等度):エナメル質が侵食され、神経に刺激が伝わる
- 不適切な噛み合わせ:特定の歯に過剰な力が加わり、微細なひび割れが発生
これらの要因の多くは、かみ合わせの不調和・歯列の乱れが根本に関係しており、日常生活で気づきにくい力のかかり方によってじわじわと進行していきます。

▲ 知覚過敏の原因となる象牙質の露出
矯正治療で知覚過敏が改善される?
実は、矯正治療によって知覚過敏の原因が取り除かれるケースも少なくありません。たとえば、歯列のズレにより特定の歯に集中していた咬合圧を分散させることで、摩耗やマイクロクラック(歯のひび割れ)の進行を止め、症状が改善することがあります。
また、歯のすり減りを引き起こしているくいしばりやTCH(歯列接触癖)が、矯正治療後に自然と軽減されることもあります。これは、上下の歯が自然に閉じられる正しい位置関係に戻ることで、歯と顎にかかる無意識の力が減るためです。
「知覚過敏かも?」と思ったときにするべきこと
以下のような症状がある方は、早めの歯科受診をおすすめします。
- 冷たいもの・甘いものがしみる
- ブラッシング中にピリッとした痛みを感じる
- 歯の表面がツルツルではなく、すり減ってザラザラしている
- 歯茎が下がってきた気がする
一時的な症状と思い込み、市販の知覚過敏用歯磨きで様子を見るだけでは不十分なこともあります。かみ合わせや歯列の問題が隠れている場合には、早期に専門的な治療を始めることが大切です。
やまぐち歯科こども歯科の診療アプローチ
当院では、歯が染みる原因を以下の観点から総合的に診断しています。
- 歯の摩耗状態の確認
- かみ合わせのズレや過重接触の有無
- 歯列全体のバランスや歯軸の傾き
- TCHやくいしばりなどの習癖の有無
- 咬合力の分布分析(咬合紙・模型・CTなど)
その上で、知覚過敏用の薬剤やレーザー治療による一時的な処置だけでなく、根本的なかみ合わせの改善が必要な場合には矯正治療をご提案します。

▲ 矯正治療でかみ合わせを整えることで、知覚過敏が改善した例
歯肉退縮とは──歯茎が下がる仕組みとケア方法
「最近、歯が長く見える気がする」「歯の根元が見えてきた」「歯がしみるようになった」──こうした変化に気づいたとき、疑われるのが歯肉退縮(しにくたいしゅく)です。歯肉退縮とは、歯茎が徐々に下がっていき、歯の根元が露出する状態のことを指します。見た目の問題だけでなく、知覚過敏、虫歯、歯の動揺など、さまざまな口腔トラブルの引き金となるため、注意が必要です。
歯肉退縮は加齢の自然な変化と捉えられがちですが、若い世代にも増えているのが実情です。その背景には、強すぎるブラッシング、歯ぎしり、くいしばり、噛み合わせの不正など、日常生活の中での習慣や歯並びの乱れが関与しています。
歯肉が下がる主な原因
- 過度なブラッシング:硬い歯ブラシや力の入れすぎにより、歯茎が物理的に削られる
- 歯周病:歯周ポケットが深くなり、歯槽骨(歯を支える骨)が吸収されて歯茎が後退
- 噛み合わせのズレ:特定の歯にだけ力が集中することで、周囲の歯肉に過剰な刺激が加わる
- 歯並びの乱れ:歯列が外側や内側に飛び出している歯は、歯茎が薄くなりやすい
- くいしばり・TCH:慢性的な力の加わりすぎによる歯周組織への負担

▲ 歯肉が後退し、歯の根が露出した状態
歯肉退縮によって起こる問題
- 歯の根元が露出し、知覚過敏が起こりやすくなる
- 歯の見た目が長くなることで審美性が損なわれる
- 根面う蝕(根元にできる虫歯)のリスクが高まる
- 歯の動揺(グラつき)が起きやすくなる
特に問題なのは、歯肉退縮が進行性であるという点です。一度下がった歯茎は自然には元に戻らず、放置すると抜歯につながるケースもあります。原因の特定と早期の対策が重要です。
矯正治療で歯肉退縮の進行を防ぐ
意外かもしれませんが、歯肉退縮の原因が「歯列の不正」や「噛み合わせの不調和」にある場合、矯正治療によって進行を抑制・予防することができます。例えば、外側に傾いている歯を内側に戻すことで、歯茎の圧迫が軽減され、歯根の露出範囲が縮小されることがあります。
また、噛む力のバランスを整えることで、特定の歯や歯茎への過剰な刺激が減り、歯周組織が安定しやすくなります。つまり、歯並びを整えることは「歯を守る環境づくり」とも言えるのです。

▲ 矯正によって力のかかり方が分散し、歯肉へのダメージが軽減
セルフケアと歯科での対応
歯肉退縮が疑われる場合は、以下のようなセルフケアを行うとともに、専門的な診察を受けることが大切です。
- やわらかめの歯ブラシを使用し、優しい圧で磨く
- 歯周病予防のため、フロス・歯間ブラシを併用する
- 歯並びや噛み合わせのチェックを受ける
- ナイトガードで歯ぎしり・くいしばり対策を行う
やまぐち歯科こども歯科では、歯肉退縮の進行度や原因を多角的に分析し、必要に応じて歯周治療・矯正治療・生活習慣の改善指導を組み合わせてサポートします。
くいしばり・歯ぎしりのメカニズムとリスク
朝起きたときに顎が疲れていたり、歯がすり減ってきた気がしたりしませんか?そのような症状は、くいしばり(クレンチング)や歯ぎしり(ブラキシズム)が関係しているかもしれません。これらは無意識のうちに歯や顎に強い負荷をかける習癖であり、口腔内だけでなく顎関節・筋肉・全身の健康にまで影響を及ぼすことがあります。
特に近年は、ストレス社会の影響でこのような習癖を持つ方が増加しています。驚くべきことに、夜間の歯ぎしりで歯にかかる力は体重の2〜3倍にもなるといわれており、長期間放置すると歯の摩耗・破折・顎関節症の原因
くいしばり・歯ぎしりの種類と特徴
- グラインディング(歯ぎしり):ギリギリと横方向に歯を擦り合わせる動き。睡眠中に多く、咬耗の主原因。
- クレンチング(くいしばり):上下の歯をグッと強く噛み締める動き。日中に多く、筋肉や顎関節への負担が大きい。
- タッピング:カチカチと噛み合わせを繰り返す動き。比較的稀なタイプ。
これらは意識して止めることが難しいため、原因の特定と予防対策が重要になります。とくに日中のTCH(歯列接触癖)と夜間の歯ぎしりが組み合わさると、歯や顎関節に与えるダメージは非常に大きくなります。
くいしばり・歯ぎしりがもたらす影響
- 歯の咬耗や破折(ヒビ、割れ)
- 詰め物・被せ物の脱離
- 顎関節の痛み、雑音(カクカク音)
- 咀嚼筋の肥大(顔が大きく見える)
- 知覚過敏、歯肉退縮
- 頭痛、肩こり、首こり
特定の歯にだけ強い力がかかり続けることで、噛み合わせのズレも引き起こし、それが顎関節症や全身の不調の原因になることもあります。

▲ くいしばりによって歯が摩耗・破折した例
矯正治療が習癖リスクを軽減する理由
意外かもしれませんが、矯正治療はくいしばりや歯ぎしりの根本的な予防策になることがあります。なぜなら、不正な咬合状態がこれらの習癖を助長している場合が多いためです。
たとえば、前歯で噛みにくい・奥歯だけで咀嚼しているような偏った咬合は、力の逃げ場がないために過剰な力が蓄積されやすくなります。矯正によって歯列が整い、上下の歯が自然な位置で接触するようになると、無意識の噛みしめやすさが減少し、顎や歯への負担も軽減されます。
また、ナイトガードを使用しても症状が改善しない場合は、噛み合わせの再構築を行う矯正が必要と判断されるケースも少なくありません。
くいしばり・歯ぎしりへの対処法
- ナイトガード(就寝用マウスピース)の装着
- 日中のTCHの自己認識トレーニング(定期的に上下の歯を離す習慣づけ)
- ストレス軽減:睡眠環境の改善、深呼吸や瞑想など
- 咬合力分析と矯正治療の検討
やまぐち歯科こども歯科では、咬耗や顎関節の状態を確認しながら、矯正治療の必要性を総合的に診断します。単なるマウスピースの処方だけではなく、「なぜ歯ぎしりが起きているのか?」という根本原因に目を向けた治療をご提案しています。

▲ 矯正治療後にくいしばりが自然に軽減した例
ナイトガードの役割と選び方──市販と歯科医院の違い
「歯ぎしりがあると言われた」「朝起きると顎が痛い」「歯がすり減っているようだ」──そんな方に勧められるのがナイトガードです。ナイトガードとは、就寝中に装着するマウスピースの一種で、歯ぎしりやくいしばりによる歯や顎へのダメージを軽減する役割を果たします。
ナイトガードを使うことで、歯が擦れるのを防ぎ、顎関節や筋肉への負担を減らすことができますが、「どんなナイトガードを選べばいいのか」、「市販品と歯科医院の違いは何か」などの疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。ここでは、その違いや役割、そして矯正治療との関係について詳しく解説します。
ナイトガードの主な効果
- 歯ぎしり・くいしばりによる咬耗の防止
- 歯の破折・補綴物(詰め物・被せ物)の脱離防止
- 顎関節の圧迫軽減
- 筋肉の緊張緩和による顎のだるさや頭痛の軽減
ナイトガードは症状の進行を食い止める「予防的装置」であり、顎や歯を休ませるための道具として大きな役割を果たします。

▲ ナイトガード装着時のイメージ
市販のナイトガードと歯科医院のナイトガードの違い
比較項目 | 市販品 | 歯科医院製 |
---|---|---|
フィット感 | 低い(汎用サイズ) | 非常に高い(歯型に基づく) |
耐久性 | 短期間で摩耗・変形 | 長期使用に耐える素材 |
かみ合わせ調整 | 不可 | 可能(歯科医が調整) |
症状の改善効果 | 限定的 | 高い |
歯科医院で製作されるナイトガードは、一人ひとりの歯並びと咬合状態に合わせて設計されており、症状の緩和効果が非常に高いのが特徴です。また、必要に応じて顎の位置やかみ合わせのバランスを微調整することができるため、顎関節症やTCHとの関連にも対応できます。
ナイトガードだけでは解決しないケースも
ナイトガードは確かに有効な手段ですが、根本的な問題が「かみ合わせのズレ」や「歯列の乱れ」にある場合、それだけでは十分な効果が得られないこともあります。たとえば、
- ナイトガードをしても朝の顎の痛みが続く
- 片側の奥歯ばかりがすり減る
- 装着時に違和感や圧迫感が強い
このような場合、噛み合わせそのものを整える必要があり、矯正治療によって歯列全体の力のバランスを再構築することで症状の根本改善が見込まれます。

▲ ナイトガードは対症療法、矯正治療は根本改善
やまぐち歯科こども歯科での対応
当院では、咬耗・顎関節の違和感・歯の痛み・歯列不正などの症状を総合的に評価し、必要に応じてナイトガードの製作とともに、矯正治療による根本的な改善を提案しています。特に10代〜40代の方には、長期的視点から歯列全体の見直しが有効です。
「ナイトガードで様子を見ていたけど…やっぱり違和感がある」「しっかり治して将来のリスクを減らしたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
矯正治療で噛み合わせを整える意味と効果
これまでお伝えしてきたように、顎関節症、咬耗、歯のしみ、歯肉退縮、くいしばり、TCHなど、口腔内で起こる多くのトラブルは、実は「噛み合わせの乱れ」が根本的な原因になっていることが少なくありません。そしてその噛み合わせの不調和を根本から改善できる唯一の方法が、矯正治療です。
矯正治療といえば、「見た目を整えるためのもの」と思われがちですが、実際には機能的・健康的なかみ合わせを獲得する医療です。噛み合わせが整うことで、歯、歯茎、顎関節、筋肉、そして全身の健康にも良い影響を与えます。
なぜ噛み合わせが重要なのか?
噛み合わせが乱れていると、咀嚼時の力が不均等に歯にかかり、次のような問題を引き起こします。
- 特定の歯への過剰な力による咬耗や破折
- 歯肉への慢性的な圧力による歯肉退縮
- 顎の偏位による顎関節症や左右の顔のゆがみ
- 噛みづらさによる咀嚼不全、消化機能低下
- 筋肉のアンバランスから頭痛・肩こり・姿勢の崩れ
つまり、噛み合わせは「健康の土台」なのです。どれほど歯を磨いても、噛み合わせが悪ければ長期的に歯を守ることはできません。
矯正治療で得られる効果
- 力のバランスが整い、歯の寿命が延びる
- くいしばり・歯ぎしりが自然に軽減される
- 顎関節症が改善、または予防できる
- 知覚過敏や歯のしみが起きにくくなる
- 歯ブラシが届きやすくなり、虫歯や歯周病予防に有利
- 見た目が整い、自信が持てる

▲ 矯正治療によって改善された理想的な咬合
やまぐち歯科こども歯科の矯正治療の特徴
当院では、ただ歯を並べるだけの矯正は行いません。大切にしているのは「健康なかみ合わせを育てる」ことです。そのために、以下のような精密な診断と治療計画を行っています。
- CTやセファロによる顎関節・骨格の評価
- 歯列だけでなく、舌や唇、筋機能のチェック
- TCHや姿勢、くいしばりの有無を確認
- 年齢・成長段階に応じたタイミングと装置の提案
また、女性矯正医が在籍しており、お子様や女性の患者様も安心して通院いただけます。成人の方ももちろん対応可能で、「今さら矯正なんて…」という方も多く来院されています。
矯正を始めるベストなタイミングとは?
矯正治療に「遅すぎる」はありませんが、「早ければ早いほど、治療の選択肢が広がる」ことは確かです。特に、
- 顎の成長が残っているお子さま
- 就職・結婚などのライフイベント前
- 顎の痛みや歯のすり減りに気づいたとき
これらのタイミングで相談を受けると、将来的なトラブルを回避できる可能性が高くなります。やまぐち歯科こども歯科では、無料のカウンセリングを実施しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

▲ 一人ひとりに合った矯正プランをご提案します
TCH(歯列接触癖)とは?知られざる現代病
「何もしていないのに歯が疲れる」「顎がだるい」「歯ぎしりの自覚はないのに歯がすり減っている」──そのような症状がある方は、TCH(Tooth Contacting Habit:歯列接触癖)の可能性があります。
TCHとは、無意識のうちに上下の歯を軽く接触させてしまう癖のこと。通常、リラックスしている状態では上下の歯は2〜3mm程度離れているのが正常ですが、TCHのある人は長時間にわたり歯が触れたままの状態が続きます。
TCHは、強い力がかかるわけではないために自覚しづらく、慢性的な筋肉疲労・顎関節への負荷・歯の咬耗など、さまざまなトラブルを静かに進行させる「現代病」ともいえる存在です。
TCHのチェックリスト
以下の項目に複数当てはまる方は、TCHの傾向があるかもしれません。
- 仕事中や作業中に、気づくと歯を噛み締めている
- 頬や舌の内側に歯形がついている
- 顎が重だるく、すぐに疲れる
- 肩こりや首のこりが慢性的にある
- 歯ぎしりやくいしばりはないが、歯がすり減っている
- 詰め物がよく外れる
TCHは、主に日中に発生しやすく、仕事や勉強、スマートフォンの操作、パソコン作業など、集中しているときに無意識に起こりやすくなります。
TCHによる影響
TCHは強く噛んでいないため軽視されがちですが、接触している時間が非常に長いため、歯や顎への負荷は大きく、以下のような問題を引き起こす原因になります。
- 顎関節症の進行
- 咬耗や歯のひび割れ
- くいしばり・歯ぎしりの併発
- 歯のしみ・知覚過敏
- 顔の筋肉のこわばり、頭痛・肩こり

▲ TCHは知らず知らずのうちに長時間続き、顎や歯に負荷をかけます
TCHと噛み合わせの関係
TCHが起きやすい人には、共通して上下の歯が接触しやすい咬合状態があることが多いです。たとえば、
- 歯が前方に傾斜している
- 咬合高径(上下の歯の高さ)が低く、すぐ接触する
- かみ合わせのバランスが悪く、自然な顎の位置が定まらない
つまり、TCHは「噛みやすい状態」が無意識に作られてしまっていることで起こる現象ともいえます。そのため、歯列の傾きや高さ、歯の位置関係を整える矯正治療によってTCHが起こりにくくなるというケースも多いのです。
TCHへの対策とやまぐち歯科こども歯科での対応
TCHは無意識で起こるため、まずは「歯を接触させていないか」意識して確認する習慣を身につけることが第一歩です。デスクやスマートフォンに「歯を離す!」などのメモを貼っておくのも有効です。
また、やまぐち歯科こども歯科では、以下のような方法でTCHの改善をサポートしています。
- 日中TCHチェック表の配布と指導
- ナイトガードの使用による夜間の負荷軽減
- 咬合接触分析(強く当たっている歯の特定)
- 矯正治療による咬合再構築
特に矯正治療により、自然に歯と歯が触れにくい状態を作ることができると、TCHそのものの改善につながるだけでなく、くいしばり・顎関節症・歯の咬耗といった二次的な症状も同時に解消されやすくなります。

▲ 噛み合わせを整えることで、TCHが自然に改善することも
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顎やかみ合わせでお悩みの方へ──無料相談受付中
やまぐち歯科こども歯科では、顎の痛みや咬耗、かみ合わせのズレに関するご相談を無料で承っています。お気軽にご予約ください。
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▶ 参考サイト
- 日本顎関節学会(顎関節症の情報)
- 日本矯正歯科学会(矯正治療について)
- 顎関節症.jp(TMD専門情報)
- 厚生労働省e-ヘルスネット
※参考文献:
日本矯正歯科学会「不正咬合と健康への影響」/
日本顎関節学会「顎関節症の診断と治療指針」/
厚生労働省e-ヘルスネット