札幌市豊平区(月寒・福住エリア)の施設基準届出医療機関による解説コラムです。
矯正治療は保険適用になる?
顎変形症・指定疾患・永久歯萌出不全の条件を解説
「歯列矯正はすべて自費で高額になる」と思っていませんか?実は、矯正治療は原則として自費診療となりますが、厚生労働大臣が定めた特定の疾患や条件に該当し、施設基準を満たした医療機関で診断・治療を受ける場合は健康保険が適用されることがあります。
本記事では、対象となる疾患や施設基準、保険適用となる条件について、患者さま向けにできるだけ分かりやすく整理して解説します。
🕒 読む目安:約10分
🔄 最終更新:2026年4月
🏥 【2026年4月 最新情報】歯科矯正診断料および顎口腔機能診断料の届出について
やまぐち歯科こども歯科は、国が定める「歯科矯正診断料」および「顎口腔機能診断料」の施設基準を満たし、北海道厚生局への届出が受理されています。
これにより、これまで自費診療が中心だった矯正治療に加え、顎離断等の手術を必要とする顎変形症について、手術を行う医科・口腔外科の連携医療機関と協力しながら、手術前後の矯正歯科治療を保険診療として行える体制が整いました。見た目以上に「機能改善」を最優先とする方針のもと、より多くの方の健康をサポートいたします。
この記事の要点まとめ
- 矯正治療は原則として自費診療ですが、国が定める条件を満たす場合は保険適用となります。
- 厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常では、条件を満たす場合に保険適用となります。
- 前歯・小臼歯の永久歯3歯以上の萌出不全で、埋伏歯開窓術を必要とする咬合異常も対象となります。
- 顎離断等の手術を必要とする顎変形症では、手術前後の矯正歯科治療が保険適用となります。
- 保険適用には、施設基準を満たし地方厚生局に届け出た保険医療機関での診断・治療が必要です。
この記事の監修:山口 治奈(やまぐち はるな)
やまぐち歯科こども歯科 歯科医師 / 日本矯正歯科学会認定医 / 歯学博士。ご自身の症状が保険適用になるか迷われる方は、まずは当院で状態を確認する初回相談をご利用ください。
1. 矯正治療が保険適用になるのはどんな場合?
歯並びを治したいからといって、誰でも保険が適用されるわけではありません。公的な保険診療上の要件および日本矯正歯科学会の公開情報等を踏まえると、主に以下の3つの分類のいずれかに該当し、歯科医師が「機能障害の治療として矯正が必要」と診断した場合に保険適用の対象となります。
🔍 こんな症状はありませんか?(セルフチェック)
- 極端な受け口や出っ歯で、前歯で食べ物をうまく噛み切れない
- 顔の左右の非対称(歪み)が著しく、噛み合わせが大きくずれている
- 歯科医院で「生まれつき永久歯が6本以上ない(先天性部分無歯症)」と言われた
- 前歯または小臼歯の永久歯が3歯以上生えてこず、埋伏歯の開窓術が必要と言われた ※1
- 口蓋裂などの先天的な疾患があり、噛み合わせに影響が出ている
※1 埋伏歯が1本あるだけで自動的に保険適用になるわけではありません。最終的な判断は、施設基準を満たした医療機関での精密な検査と診断が必要です。
① 厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常
唇顎口蓋裂、ダウン症候群、6歯以上の先天性部分無歯症(生まれつき永久歯が6本以上ない状態)など、国が定める疾患に起因して噛み合わせの異常が生じている場合です。
対象となる疾患の例(タップで開く)
※国が定めた疾患に起因した咬合異常が対象です。対象疾患は改定されることがあるため、最新の一覧は公式情報で確認することが大切です。
- 唇裂・口蓋裂
- ダウン症候群
- ターナー症候群
- ベックウィズ・ヴィーデマン症候群
- プラダー・ウィリー症候群
- 鎖骨頭蓋骨異形成
- 神経線維腫症
- 筋ジストロフィー
- 先天性ミオパチー
- 6歯以上の先天性部分無歯症 など
対象疾患の最新情報は日本矯正歯科学会の公式情報をご確認ください
② 前歯・小臼歯の永久歯3歯以上の萌出不全
前歯および小臼歯の永久歯のうち、3歯以上が骨の中に埋まるなどして萌出不全となり、埋まっている歯を引っ張り出すための「埋伏歯開窓術(歯茎を切開する手術)」を必要とする咬合異常が対象です。
歯が並ばない場合の判断:抜歯・非抜歯・埋伏歯の牽引など
③ 顎変形症
上あごや下あごの骨の大きさ・形・位置に著しい異常があり、顎離断等の手術を必要とする顎変形症の、手術前後の矯正歯科治療が対象です。極端な「受け口」や「顔の著しい非対称(歪み)」などが該当することがあります。
※「少しあごが出ている気がする」程度では適用されません。精密検査を行い、手術が必要という診断が下りた場合のみ、連携機関での手術とその前後の矯正治療が保険適用となります。
顎変形症の外科矯正とは?症状・治療期間・高額療養費を詳しく解説
2. 保険適用の矯正治療と自費矯正の違い
保険が適用される場合と、一般的な自費診療(自由診療)では、費用や選べる装置のルールに違いがあります。
🏥 保険適用の矯正治療
- 費用: 健康保険が適用され、通常3割負担等で治療が受けられます。(高額療養費制度や地域の医療費助成の対象になる場合があります)
- 装置: 国が定めた材料(主に金属製のワイヤーとブラケット)に限定されます。透明なマウスピース型矯正などは原則として選べません。
- 目的: 咀嚼(噛むこと)や発音などの機能障害を治す「病気の治療」が主目的となります。
💎 自費診療(自由診療)の矯正治療
- 費用: 全額自己負担となります。(自費診療の場合は、治療費や分割払いの方法、医療費控除について別途ご説明します)
- 装置: 自由診療では装置や治療方針の選択肢が広く、透明なマウスピースや目立たないホワイトワイヤーなど、症例に応じた提案がしやすいです。
- 目的: 自費診療でも、噛み合わせや清掃性などの機能改善を目的とすることがあります。ただし、保険適用の要件を満たさない場合や、装置・審美性・治療方法の希望を反映する場合は自由診療となります。
3. 治療の流れ(顎変形症・外科矯正の場合)
保険適用となる外科矯正(顎変形症の治療)は、当院のような矯正歯科の施設基準届出医療機関と、手術を行う連携医療機関(口腔外科)が役割を分担して進めます。
Step 1. 初診・精密検査・診断(当院)
顎変形症等の疑いがあるか検査し、保険適用の対象となるか診断します。必要に応じて、連携医療機関での画像検査や手術計画を踏まえ、顎の位置や噛み合わせの変化を確認しながら治療計画を立てます。
Step 2. 術前矯正(当院 / 約1〜2年)
手術をした際に上下の歯がしっかり噛み合うように、あらかじめワイヤー矯正で歯並びを整えておきます。
Step 3. 外科手術・入院(連携する口腔外科 / 1〜2週間程度)
全身麻酔下で顎離断等の手術を行います。(※当院から、手術に対応する医科・口腔外科の連携医療機関へご紹介します。)
Step 4. 術後矯正(当院 / 約半年〜1年)
手術後、新しい顎の位置に合わせて噛み合わせの微調整を行います。
Step 5. 保定・機能訓練(当院)
装置を外し、歯が後戻りしないように保定装置を使用し、必要に応じて口腔筋機能療法(MFT)等を行います。
4. 札幌市の「子ども医療費助成」は使える?
「子どもの医療費受給者証があれば、矯正も無料になりますか?」というご質問をよくいただきます。これは「保険適用の治療か、自費診療か」で扱いが異なります。
一般的な矯正(自費)の場合:対象外
保険がきかない自由診療の費用は、札幌市の子ども医療費助成の対象外です。代わりに要件を満たせば「医療費控除」で税金の還付申告を行うことが可能です。
顎変形症など(保険適用)の場合:対象の可能性あり
「保険適用となる矯正治療」の自己負担分であれば、札幌市の子ども医療費助成(※令和7年4月から高校生世代まで拡大)などの対象となる可能性があります。
なお、札幌市の子ども医療費助成は、原則として健康保険が適用される診療の自己負担分が対象です。自由診療の矯正費用や、保険適用外の装置・材料・処置は助成対象外となります。実際の助成可否は、受給者証の有無、年齢、所得要件、加入している公的医療保険などにより異なります。
【自費の場合】矯正治療の費用と「医療費控除」に関する解説
5. 当院の体制(施設基準届出医療機関)
保険適用で矯正治療を行うためには、国が定めた施設基準を満たし、地方厚生(支)局長に届出を受理された保険医療機関である必要があります。
当院は「歯科矯正診断料」および「顎口腔機能診断料」の施設基準届出医療機関です。
🦷 矯正だけでなく、お口全体を長く診ていく歯科医院
当院は、虫歯の治療だけでなく、歯並び・噛み合わせ・顎の成長・お口の機能まで長く見守る歯科医院として、見た目以上に顎の成長・噛み合わせ・呼吸・発音などの「機能改善」を重視した診療を行っています。
顎離断等の手術を必要とする顎変形症の保険適用治療から自費診療まで幅広く対応しており、治療内容と費用を事前に丁寧にご説明しています。また、患者さまの不安を煽るようなご提案はせず、今は必要ない場合も、正直にお伝えしています。
6. よくある質問 (FAQ)
保険適用になるかどうかは、相談だけで分かりますか?
お口の中を拝見して保険適用の可能性をお伝えすることはできますが、最終的な判断にはレントゲン、セファロ分析、必要に応じた医科・口腔外科との連携など、精密検査が必要です。
自分が保険適用の対象か分かりません。
ご自身での判断は非常に難しいため、まずは当院の初回相談へお越しください。お口の状態を拝見し、保険適用(顎変形症などの疑い)の可能性があるか、自費診療となるか、現在の状態を正直にお伝えします。今は必要ない場合も、無理にお勧めすることはありませんのでご安心ください。
子どもの矯正は保険適用になりますか?
一般的な歯並び改善を目的とした小児矯正は、原則として自費診療です。ただし、厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常や、前歯・小臼歯の永久歯3歯以上の萌出不全など、国が定める条件を満たす場合は保険適用となることがあります。
保険適用の矯正治療では、治療費はどのくらいになりますか?
保険診療では原則として自己負担割合に応じた窓口負担となります。顎変形症で手術入院を伴う場合は、高額療養費制度の対象となる場合がありますが、実際の負担額は所得区分や入院内容により異なります。
保険適用の矯正でも、マウスピースは選べますか?
原則として選べません。保険適用の矯正治療で使用できる材料は国によって定められており、金属製のワイヤーとブラケットが基本となります。透明なマウスピース矯正等をご希望の場合は、自費診療となります。
MFT(お口のトレーニング)は保険適用になりますか?
口腔機能に関する指導や訓練は、別途「口腔機能発達不全症」などの診断名がつき、国の定める算定要件を厳格に満たす場合に限り、保険算定の対象となることがあります。当院では機能改善を最優先としておりますが、自動的にすべてが保険になるわけではありませんので、詳しくは診断時にご説明いたします。
治療の適応についてお悩みの方へ
やまぐち歯科こども歯科では、患者さま一人ひとりの骨格やお口の機能に合わせ、保険・自費を含め、現在のお口の状態に応じた治療方針を分かりやすくご説明します。まずは現在の状態を正しく把握するため、当院にご相談ください。