先天欠損歯の矯正治療ガイド|歯が足りない原因・歯根吸収リスク・費用を徹底解説
札幌市豊平区(月寒・福住エリア)のやまぐち歯科こども歯科による、矯正治療の解説コラムです。
歯が足りないと言われたら?
先天欠損歯の矯正治療と保険適用
(札幌市豊平区)
この記事の要点まとめ:
- 先天欠損歯(歯が足りない)の放置は、歯根吸収などのリスクを伴う場合があるため、早期の状態把握が大切です。
- 当院は「歯科矯正診断料」および「顎口腔機能診断料」の施設基準届出医療機関です。条件を満たす場合、保険診療で対応できるかを診断します。
- 主な治療選択肢は「スペース閉鎖」(矯正で隙間を埋める)、「スペース確保」(将来のインプラント等に備える)、または「乳歯の温存」です。
- 札幌の当院では、日本矯正歯科学会認定医が、長期的で安全な治療計画をご提案します。
矯正で歯がない部分を埋められますか?
乳歯が抜けた後、本来生えてくるはずの永久歯が生まれつき存在しない状態を先天欠損歯(せんてんけっそんし)と呼びます。日本小児歯科学会の全国調査でも、お子さまの約10人に1人の割合で見られると報告されている、決して珍しくない症状です。しかし、「歯がない」という特殊な状況は、通常の矯正治療とは異なる専門的な判断が必要となります。
放置することで、隣の歯が倒れ込んだり、「歯根吸収(しこんきゅうしゅう)」というトラブルを引き起こす可能性があるため注意が必要です。
この記事では、先天欠損歯の患者さまが注意すべきリスク、矯正治療における選択肢、そして保険適用の条件(6歯以上の欠損など)について、認定医の視点から解説します。
やまぐち歯科こども歯科 歯科医師 / 日本矯正歯科学会認定医 / 歯学博士
先天欠損歯の治療は、長期にわたる精密な計画が必要です。保険適用の選択肢も含め、最適な治療を提供します。
先天欠損歯とは?(頻度・原因・発見時期)
先天欠損歯とは?
先天欠損歯とは、生まれつき永久歯の歯胚(しはい:歯の芽)が形成されていない状態を指します。親知らずを除くと永久歯は通常上下合わせて28本ですが、この本数が足りない状態です。
頻度と原因
主な原因は遺伝的要因と考えられていますが、胎児期の発達異常や栄養状態なども関連が指摘されています。
欠損しやすい部位
特に上顎側切歯(前から2番目の歯)の欠損は、前歯の見た目に大きく影響するため、矯正治療の対象となるケースが非常に多いです。
- 下顎第二小臼歯(前から5番目の歯)
- 下顎側切歯(前から2番目の歯)
- 上顎第二小臼歯(前から5番目の歯)
- 上顎側切歯(前から2番目の歯)
いつ欠損が判明するのか?
乳歯が抜けて永久歯が生えてくる6歳〜12歳頃に判明することがほとんどですが、レントゲン検査を行えば、乳歯が抜ける前の4〜5歳頃には確認できます。当院では小児歯科検診の際にパノラマレントゲンを撮影し、早期に状況を把握するように努めています。
注意すべきリスク「歯根吸収」とは?
先天欠損歯がある場合、「歯がないスペースができる」というだけでなく、隣の歯に影響を与える可能性があります。特に、上顎側切歯(2番)が欠損している場合に起こりやすいトラブルの一つが「歯根吸収」です。
なぜ「歯根吸収」が起こるのか?
通常、永久犬歯(3番)は、その前にある側切歯(2番)の根っこを「道しるべ」にして正しい位置に生えてきます。しかし、そのガイド役である側切歯が先天欠損していると、犬歯が道しるべを失い、萌出方向がずれてしまうことがあります。
そのため、犬歯が前方に傾いて生えてきてしまい、隣の中切歯(1番:一番目立つ前歯)の根っこにぶつかって、根を溶かしてしまう現象が起こることがあります。これが歯根吸収(しこんきゅうしゅう)です。
早めの確認が大切
歯根吸収が進行すると、前歯の根が短くなり、将来的な歯の安定性に影響することがあります。このようなリスクを早めに把握するためには、犬歯の萌出方向を確認することが大切です。特に上顎側切歯が欠損している場合や、犬歯の位置に異常が疑われる場合は、適切な時期にレントゲン等で確認し、早期に対応方針を検討します。
なぜ早期発見が重要?札幌・当院の画像診断
歯根吸収のリスクは、通常の2次元レントゲン(パノラマ)だけでは重なりによって正確に把握しきれないことがあります。
必要に応じたCT検査の活用
当院では、まずパノラマレントゲンや口腔内診査で全体像を確認します。そのうえで、犬歯の位置異常や歯根吸収のリスクが強く疑われる場合、必要に応じて歯科用CTを用いて三次元的に評価します。
- 歯根吸収のリスク評価: 萌出途中の犬歯が、隣の前歯の根にどれだけ接近しているかを確認。
- 犬歯の萌出方向の確認: 安全な場所へ誘導するための装置選択に活用。
- 骨幅の診断: 将来インプラントを選ぶ場合、顎骨の厚みが確保できるか予測。
- 隠れた欠損の確認: 重なって見えない奥歯などに埋伏歯がないかを確認。
先天欠損歯の矯正治療:主な選択肢を比較
先天欠損歯の矯正治療計画は、主に以下の2つのうち、どちらのゴールを目指すかで方針が大きく分かれます。
奥の歯を前方に移動させて、歯がない隙間を閉じる方法。(犬歯を側切歯の代わりにする等)
将来的なインプラント等の補綴治療が不要になりやすい。
犬歯を側切歯の代わりにする場合、歯の形を丸める等の形態修正が必要。治療期間が長くなる傾向。
将来インプラントやブリッジを設置するための理想的なスペースを確保する方法。
犬歯は犬歯として機能するため、自然な歯並び・噛み合わせを再現しやすい。
成長が完了してから(18歳以降)別途インプラント等の治療が必要(費用も別途発生)。
乳歯をすぐに抜かず、温存する選択肢
先天欠損歯では、乳歯の下に永久歯がないため、乳歯が通常より長く残ることがあります。乳歯の根の吸収が少なく、むし歯や動揺(グラグラ)が少ない場合は、すぐに抜歯せず、天然の保定装置としてできるだけ長く温存することも重要な選択肢です。
ただし、乳歯が沈み込んでくる、隣の歯が傾く、あるいは全体の噛み合わせに悪影響が出ている場合は、適切なタイミングで抜歯し、矯正治療や補綴治療を含めて方針を検討します。
【重要】先天欠損歯の「保険適用」について(6歯以上の欠損等)
先天欠損歯の矯正治療は、原則として保険適用外(自費診療)ですが、特定の条件を満たす場合には健康保険が適用されることがあります。
🏥 当院は「歯科矯正診断料」および「顎口腔機能診断料」の施設基準届出医療機関です
やまぐち歯科こども歯科は、厚生労働省が定める専門的な施設基準を満たしており、以下のケースにおいて保険診療での矯正治療が可能かどうかの診断・治療を行っています。
【1】6歯以上の先天性部分無歯症
親知らず(第三大臼歯)を除く永久歯が「6歯以上」先天的に欠如している場合は、「厚生労働大臣が定める疾患」に起因する咬合異常として、条件を満たす場合に保険適用の対象となります。
【2】顎変形症(がくへんけいしょう)に伴う外科矯正
上顎や下顎の骨格的なズレが大きく、顎離断等の手術を必要とする「顎変形症」と診断された場合、顎口腔機能診断料の施設基準に基づき、手術前後の矯正歯科治療が保険適用となる場合があります。
💰 【保険適用の費用目安】6歯以上の欠損・アンカースクリュー併用
やまぐち歯科こども歯科では、「治療内容と費用を事前に丁寧にご説明しています」。ここでは、12本の先天欠損があり、第三大臼歯(親知らず)を除いて「6歯以上の先天性部分無歯症」として保険適用の矯正治療を行う場合の費用目安をご紹介します。
治療期間が約1年半、矯正用アンカースクリューを2本使用するケースでは、3割負担の自己負担額はおおよそ12万〜18万円程度が目安です。
内訳としては、検査・診断、マルチブラケット装置、毎月の矯正管理・処置、アンカースクリューの植立・撤去、装置撤去、保定装置などが含まれます。
歯科矯正診断料は、治療計画作成時や保定開始時など、治療段階に応じて算定されます。また、矯正用アンカースクリューは材料代の誤解を防ぐため明記いたしますが、植立が1本500点、撤去が1本100点であり、2本使用した場合でも、保険診療上の追加負担は比較的小さくなります。
| 項目 | 3割負担の目安 |
|---|---|
| 検査・診断 | 約20,000〜30,000円 |
| 装置装着・ブラケット関連 | 約40,000〜55,000円 |
| アンカースクリュー(2本) | 約4,000〜6,000円前後 |
| 毎月の管理・処置(18か月分) | 約30,000〜45,000円 |
| 撤去・保定装置 | 約20,000〜30,000円 |
| 合計の目安 | 約12万〜18万円程度 |
【ご注意事項】
- 上記は保険適用と判断された場合の「矯正治療部分」の概算です。実際の自己負担額は、診断結果、治療計画、通院回数、装置の種類、補綴治療の有無によって変わります。
- 装置装着月などで1か月の自己負担が高額になった場合は、高額療養費制度の対象となる可能性があります。
- 特に12本の先天欠損がある場合、矯正治療後に義歯・ブリッジ・インプラントなどの補綴治療が必要になることがあり、その費用は矯正治療費とは別にかかります。正式な総額については、精密検査と診断後にお伝えいたします。
💡 【保険適用外の場合】医療費控除について
欠損が1〜5歯の場合は、原則として保険適用外の自費診療となります。ただし、発育や噛み合わせの改善を目的として必要と判断される矯正治療は、医療費控除の対象となる可能性があります。審美目的のみの場合は対象外となることがあるため、詳細は管轄の税務署へご確認ください。
【関連】前歯が噛み合わない「開咬」とは?外科矯正とTADの選択肢
年齢別(小児期・成人)の治療方針の違い
小児期(7歳〜10歳)の治療方針
この時期は、リスクの回避と成長の観察が主目的となります。
レントゲンやCTで歯根吸収のリスクが高いと判断された場合、永久犬歯を安全な位置に誘導するための早期矯正(I期治療)を検討します。また、前述の通り、欠損歯の上にある乳歯をできるだけ長く使えるようにケアを行います。
思春期(11歳〜15歳)の治療方針
永久歯がほぼ生えそろい、顎の成長もある程度予測がつくため、「スペース閉鎖」か「スペース確保」かをご相談の上決定し、本格的な矯正治療(II期治療)のスタートを検討する時期です。
成人期の治療方針
成人になってからの治療は、すでに隣の歯が倒れ込んでいるなど噛み合わせが崩れていることが多いため、治療が複雑になる傾向があります。倒れた歯を起こしインプラントを入れるスペースを確保する矯正や、骨格のズレが大きい場合は「外科矯正」を含めて総合的に判断します。
札幌・当院の強み:認定医による包括的アプローチ
やまぐち歯科こども歯科の取り組み
- 丁寧な画像診断: パノラマレントゲンに加え、必要に応じてCTによる三次元的な評価を行い、歯根吸収のリスクや安全な歯の移動計画を立案します。
- 保険適用の診断施設: 歯科矯正診断料および顎口腔機能診断料の施設基準届出医療機関として、条件を満たす多数歯欠損や顎変形症に対して保険診療の枠組みで対応可能です。
- 日本矯正歯科学会「認定医」の連携: 2名の認定医がデータと臨床所見をクロスチェックし、スペース閉鎖・確保・乳歯温存など、最適な治療計画をご提案します。
よくある質問(Q&A)
先天欠損歯(歯が足りない)は、なぜ起こるのですか?
歯が足りないと、必ず矯正治療が必要ですか?
「歯根吸収」とは何ですか?なぜ起こるのですか?
先天欠損歯の矯正治療は、保険が適用されますか?
6歯未満の欠損(例:2本だけない)場合は、保険はききませんか?
「スペースを閉じる」のと「確保する」のは、どちらが良いですか?
犬歯を前歯の代わりに使うと不自然になりませんか?
乳歯がずっと残っています。抜いた方がいいですか?
先天欠損歯の治療では、早期の状態把握が選択肢を広げます。
歯根吸収のリスク回避や、保険適用を含めた最善の治療法を見極めるためには、専門的な画像診断と認定医の診査が大切です。歯がないと諦めず、まずは無料相談をご利用ください。


