指しゃぶり・口呼吸・舌癖が与える歯並びへの影響とは？｜習癖とMFTの役割

「子どもの歯並び、なんだか前歯が出てきた気がする」
「夜、いつも口が開いていて心配…」
「舌で歯を押す癖があるみたいだけど、大丈夫かな？」

そんなふうに、お子さまの「クセ」に気づいたとき、その裏には歯並びや噛み合わせに大きな影響を与える“口腔習癖（こうくうしゅうへき）”が隠れているかもしれません。

この記事では、小児矯正の現場でも特に重要視されている「指しゃぶり」「舌癖」「口呼吸」などの習癖がどのように歯並びをゆがめ、どうやって改善していくべきかを、やさしく解説していきます。

なぜ“クセ”が歯並びに影響するのか？

歯並びは「遺伝だけで決まる」と思われがちですが、実は習慣的な力（クセ）が加わることによって、歯は少しずつ動いてしまいます。

特に子どもの歯（乳歯）はやわらかく、骨の成長も活発なため、わずかな力でも影響を受けやすいのです。

よくある悪習癖として、以下のようなものが挙げられます：

• 指しゃぶり（4歳以降まで続く場合）
• 口呼吸（鼻ではなく口で呼吸する習慣）
• 舌癖（舌で歯を押す、前に出すなど）
• 頬杖、爪噛み、唇を噛む

では、個別に見ていきましょう。

指しゃぶりの影響｜安心材料から歯列のゆがみへ

指しゃぶりは多くの乳幼児に見られる自然な行動で、自己安心の手段とも言われています。

しかし4歳を過ぎても継続している場合は、次のような歯並びへの影響が現れはじめます。

• 出っ歯（上顎前突）：上の前歯が前に押し出される
• 開咬（かいこう）：上下の前歯が閉じなくなる
• 上顎の狭窄：上顎のアーチ（幅）が狭くなる

長期間続くと、将来的な矯正治療が複雑・高額になるケースもあります。

舌癖（ぜつへき）とは？

「舌を無意識に歯で押す」「飲み込むときに舌が前に出る」など、舌の使い方に問題がある状態を舌癖と呼びます。

舌は非常に強い筋肉を持っており、1日に数百〜千回以上の嚥下（飲み込み）動作で、歯に圧力を与えています。

そのため、次のような問題が起こりやすくなります：

• 開咬（上下前歯が噛み合わない）
• 歯列のゆがみ（特に前歯）
• 発音の障害（サ行・タ行が不明瞭）

見た目では判断しにくいため、専門的な評価が必要です。

口呼吸がもたらす影響｜健康にも影響が

通常、私たちは鼻で呼吸をします。しかし、慢性的な鼻づまりや習慣化によって「口呼吸」が続くと、以下のような影響があります：

• 前歯が乾燥しやすく、虫歯リスクが上がる
• 出っ歯になりやすい
• 口元の筋肉が弱くなる
• アレルギー・扁桃肥大・集中力低下の原因になることも

就寝中に口が開いていたり、朝起きると口が乾いているお子さまは、口呼吸のサインかもしれません。

習癖による代表的な歯並びの乱れ

指しゃぶり・舌癖・口呼吸が長期化すると、以下のような不正咬合に発展しやすくなります：

• 上顎前突（出っ歯）
• 開咬（前歯が閉じない）
• 叢生（歯がガタガタ）
• 反対咬合（受け口）

歯の位置だけでなく、顎の骨の発達にも影響を与えるため、早期の対応が望まれます。

小児矯正とMFT（口腔筋機能療法）の役割

やまぐち歯科こども歯科では、習癖改善＋矯正治療の両軸で、将来的な歯並びの安定を図ります。

特にMFT（Myofunctional Therapy）は、口腔周囲の筋肉バランスを整えるために非常に有効です。

当院で行うMFT例

• 舌の正しい位置「スポット」を覚えるトレーニング
• 唇の閉じる力を鍛える練習
• 飲み込み（嚥下）の再教育
• 自宅でも続けられるメニュー表を配布

MFTは4〜7歳ごろから始めるのが理想ですが、年齢に関わらず効果が期待できます。

よくあるご質問（Q&A）

Q. 指しゃぶりは何歳までなら大丈夫？

A. 3歳までなら心配いりませんが、4歳以降は歯並びへの影響を考え、対策が必要です。

Q. 子どもが口を閉じてくれないのですが？

A. まずは鼻詰まりなどの医学的原因の有無を確認しましょう。併せてMFTで口元の筋肉を鍛えていきます。

Q. 保育園や学校では継続できますか？

A. ご自宅でできるトレーニング中心に組みますので、無理なく継続可能です。

まとめ｜クセに気づいたら早めの相談を

指しゃぶり、舌癖、口呼吸などの「習癖」は、将来的な歯並びや噛み合わせ、さらには全身の健康にまで影響を及ぼす可能性があります。

やまぐち歯科こども歯科では、小児矯正とMFTを通じて、癖の改善と歯並びの安定をトータルにサポートしています。

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